フードファイタータベル 雑感
「フードファイタータベル」
週刊少年ジャンプの巻末に「ピューと吹くジャガー」が載らなくなって以来、
ギャグ漫画自体から縁遠くなっていたのですが
ふと本屋でこの漫画を見かけたことをきっかけに
再びうすた先生の漫画と巡り合うに至りました。
個人的にギャグ漫画と言えばうすた先生!というくらい
多くのギャグ漫画は影響を受けていると思うのですが
その分どのギャグ漫画を読んでも悪い意味で
うすた先生の影を感じるようになった気がします。
「フードファイタータベル」は大食い漫画をテーマにしていますが
ギャグがどうこうというよりはそのテーマにちゃんと則った上での
ネタであり、キャラクターがあるという基本的なことを
ちゃんとできているということが漫画として何より大事な部分だと感じました。
うすた先生自体、割とテーマをほったらかしにする作風だと思うのですが
今回に関しては必要以上に真面目に、
真正面からテーマにぶつかって行く姿勢を見せています。
それが逆に不自然なように感じることもあるのですが
弱点を克服するというか総合力が上がったというか
ギャグ漫画家というより漫画家として一皮剥けて成長している感があります。
実際、漫画として相当技量のある描写が山ほどあるし、
だからこそ、それをぶん投げる時の気持ち良さというか
うすた節の魅力にも磨きが掛かっているので
そういう部分が好きな人は焦らず堪えながら
まだかまだかと待ち構えながら読み進めてほしいです。
結果として大食い漫画として、というよりは
1つの漫画としての評価になりましたが
結局ギャグ漫画でもストーリー漫画でも
基本的なことを抑えた上での面白さである、ということではないでしょうか?
ギャグとしてはキレが減ったかもしれませんが
その分、深みとコクが増してよりまろやかなうすたワールドを体験できると思います。
食欲をそそるかどうかは分かりませんが
食べ物漫画としてはかなり異色な存在なので気になった人はぜひ読んでみてください。