左門くんはサモナー 雑感
ふと思い出したように当時気になっていたけど手を出していなかった漫画、
「左門くんはサモナー」を読み終えたのですがとても笑えて面白かったです。
サモナーというのは悪魔を召喚する人のことで
主人公である左門くんはヒロインである天使ヶ原さんが
ただ善人ぶっている(ように見える)という理由だけで
悪魔を呼び出して天使ヶ原さんに嫌がらせをしてくる普通にカスなヤツなのですが
そのカスっぷりを見るのがとても笑えます。
更に九頭龍くんというクズ野郎が左門くんと一緒になって悪さをし始めるのですが
二人のクズカスっぷりがとても見事で最高に面白いです。
ただ読み進めていると
左門くんの悪魔召喚のレベルはかなり高いことが解ってきます。
天使ヶ原さんを陥れるなど赤子の手をひねるよりも簡単なことだと思われます。
九頭龍くんに関しても同様で左門くんからもっと悪魔の力を借りさえすれば
より簡単に願望を叶えることができるのですがそれをしない。
これは漫画上の都合、
エンターテイメントとしての面白さを保つための建前であるとも言えるのですが
それが結果的に左門九頭龍の二人があえてクズカスを演じているのではないか?
という視点に繋がりました。
これは他のキャラクターや悪魔たちにも言えることで
もちろんコミックス内で補足説明はあるのですが
特に尋常ならざる能力を持っている悪魔たちほど
ストーリーの都合に制限されるので
あえて能力を抑えて使用しない気の良い悪魔たちというメタな部分が
自分の中では強く印象に残りました。
普通なら○○すればいいのに何故それをしないのか?
というのは作品としてマズい部分にあたると思うのですが
この漫画に関してはそれが悪いようには感じませんでした。
というのもそれはこの漫画の主人公である左門くんが
臆面もなくカス虫っぷりを演じているアンチ漫画であるからだと思います。
ゆえに普通は包み隠されるはずの部分が見えてきても
既にそれはオープンなものとして良いようにとらえることができるのではないでしょうか?
この絵柄、このネタ、豊富なパロディで持ってして
少年ジャンプで連載していたという事実が既にかなりのアンチっぷりなので
沼駿先生自体相当ひねくれものなのではないかと思うのですが
だからこそこの漫画であえて描かれるクズカスっぷりが
サービス精神のように感じ取れてしまうのだと思います。
クズカスだらけの感想になってしまいましたが
それ以外の部分も普通に面白くて楽しめました。
ラブ(?)あり、コメディあり、バトルありとジャンルも多彩で
漫画としても普通に平均以上のものを持ち合わせていると思うので
左門くんが初連載とのことですが次の連載にも是非期待したいです。